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気滞 湿熱
湿熱タイプ
体の中は、余分な水と熱でいっぱい

湿熱(しつねつ)とは非常に分かりにくい概念ですが、食べすぎ・飲みすぎが原因。体内にたまり過ぎた不要な「」と「」が、気や血のめぐりを邪魔して、様々な不調が起こっている状態です。

湿熱チェック あてはまる項目が多ければ湿熱タイプ

・水やお酒が大好き、たくさん飲む
・食欲旺盛
・味の濃いもの、脂っこいもの、カロリーの高い物が好き
・暑がりで汗っかき、頭にも汗をかく
・髪が薄い
・吹き出物が多い
・傷や湿疹が化膿しやすい
・体格がよく、皮膚もつやがよい
・尿は量が多く回数も多い。時に濁ったり、排尿時に違和感を感じる事も
・便は形がなく粘り気があり、匂いが強い。排便後もすっきりしない
・おならが多い、おならの匂いが強い
・豪快で快活そうに見えるが、悩みを一人で抱え込む

体に必要な「水」と「熱」がなぜ、悪さをするのか?

「水」は体を冷やして潤し、「熱」は体を温めて活動させる物質です。
これら二つがどちらも増えすぎると、くっつきあってドロドロとタチの悪いものに変化します。このヘドロのような要らぬ「ドロドロ」を「湿熱」と呼びます。
健康的な「水」や「熱」は体内をスイスイと動き回り、必要な場所で必要な役割を果たします。
ところが、ドロドロした「湿熱」は動きにくく、「気」や「血」の流れを邪魔するので、血流が悪くなり、組織の働きも悪化しています。
当然代謝も悪くなり、ますます太りやすく・やせにくい体質になっているのです。
一見、元気があり余っていそうに見えますが、「湿熱」が気血のめぐりを邪魔しているため、実はだるさや熱っぽさを感じています。

湿熱はたまった場所で悪さをします。例えば関節に湿熱がたまれば熱を伴って痛みますし、皮膚表面では吹き出物が化膿し、膀胱にたまれば排尿の時に痛みや熱感を伴い、大腸では泥状便となります。男性の場合は、性機能に影響を及ぼす事もあります。

対策

湿熱タイプの人は、基本的に食べすぎ・飲みすぎなので、体内はいらないものだらけ。
食事内容の見直しと、体内に溜まった湿熱を消費することが不可欠です。

食事は、全体の摂取量を減らすことが必要です。
その上で、味の濃い物、脂っこい物、カロリーの高い物、香辛料、アルコール類や水分など、特に「湿熱」を生み出しやすい食品の割合を減らしましょう。
たまねぎ・白菜・大根・トマト・すいか・もやし・ごぼう・なす・にがうり・豆腐・シジミ・あさりなどは積極的に取って欲しい食材です。油はオリーブオイルやごま油などが良いでしょう。
早食いの傾向がありますので、よく噛んでゆっくり食べ、満腹中枢を刺激するのも効果的です。
冷たいお茶や水・ジュースなどをがぶ飲みするくせがある人も多いようです。水分はのどが乾いた時だけ、少しずつ飲むことを習慣付けましょう。

摂取量を減らすだけでなく、積極的に運動をして、溜まった湿熱を消費することも重要です。
水泳やウォーキングなど、しっかり発汗して脂肪を燃焼できるような運動が良いでしょう。
ただし体重がかなり重く、足腰や心臓に負担をかける場合はいきなり激しい運動は危険です。お散歩程度のウォーキングやストレッチなど、軽い運動から始めてください。

湿熱タイプの人にはサウナはおすすめできません。サウナで汗となって出る水は「津液(しんえき)」と呼ばれる体に必要な水。元々ドロドロ・ネバネバしているのに、更にサウナで必要な水が減ってしまうと、更に煮詰まってしまいます。

漢方薬

最近、漢方薬で肥満対策と言えば「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」といわれるようになりました。防風通聖散には体内の熱を発散し、利尿、瀉下、解毒などの作用があり、食毒(栄養過多で体内にたまったいらないもの)の排泄を助ける役割があります。
湿熱の体質にあてはまる方であれば、試す価値ありです。
便秘傾向が強ければ通導散(つうどうさん)を用いる場合もあります。

のぼせや頭痛、目の充血やイライラ、高血圧など頭に血が上ってしまう方には黄連解毒湯(おうれんげどくそう)を、
湿熱体質で、排尿時に痛みや違和感を感じる方、膣炎、おりものの色が濃く匂いがあるような場合には竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)を用います。

血流を改善させる田七人参(でんしちにんじん)もおすすめです。

その他

三爽茶(ダイエットハーブティー)
気のめぐり、水分代謝を整えて脂肪の燃焼を助けます。
食生活の改善や運動をした上で三爽茶をお茶代わりに飲めば、効果が上がります。更に積極的に取り組むには、漢方薬と組み合わせることも可能です。
1回分ずつスティック状に個別包装されており、お湯やお茶などに溶かして飲めるインスタントタイプです。飲みやすい味と、携帯しやすい形状で気軽に続けられると、人気が定着しているダイエットティーです。

どくだみ茶スギナクマザサハトムギ、ハスの葉など、利水作用や解毒作用などを持つ薬草を、お茶代わりに飲むのも良い方法です。
湿熱や肥満の程度が強ければ、漢方薬や健康食品などに加え、お茶代わりにこのような薬草を飲めば効果的ですし、程度が軽い方でしたら、これらだけでも効果が期待できます。

注意事項

「湿熱」は、糖尿病、高脂血症、高血圧症、慢性関節リウマチ、胆石や腎結石、心筋梗塞、動脈硬化症、脳卒中、神経症、うつ病など、重大な病気につながりやすい体質です。
先延ばしにせず、一つでも出来ることから生活を改善することが重要です。

また、化膿性の炎症を繰り返す方の中にも湿熱体質の人が見られます。なかなか治らない化膿性の炎症があれば、一度ご相談ください。漢方薬で体質改善できるかもしれません。

湿熱体質は栄養過多の状態なので、世間一般で「体に良い」とされている食品や健康補助食品などが、逆に体質を増悪させることがあります。やみくもに取り入れることはおすすめできません。
家族で同じ健康補助食品を摂る家庭も多いと思いますが、体質が違えば逆効果になる場合がある事を念頭に置いてください。